入院中に村上春樹の「ねじまき鳥クロニクル」と「神の子どもたちはみな踊る」を読了。いやはや例のごとく春樹節を堪能したよ。あふれんばかりの才能には相変わらず脱帽するばかりである。そういえば孫の七海ちゃんが病院に見舞いにきて「おじいちゃんの読んでる本って“ねずみ”のなんとかって本だよね」って家人と話しているのを聞いた。病院の先生に外出許可をもらって巣鴨にでかけ、本屋を覗いた。去年の九月からずっと村上春樹ばっかり読んでいたので文芸誌の「新潮」と「群像」を買って久々に「ルノアール」へ行って不味いコーヒーを頼んだ。たまには村上春樹意外の作家の作品が読みたいと思ったのに「新潮」の巻頭はなんと村上春樹の「偶然の旅人」という連作ものの第一回が掲載されていた。トミー・フラナガンという懐かしいジャズピアニストを頭振りにした偶然の必然を説くような短編だ。なんのことはないまたまた村上春樹を堪能しちゃったよ。後、印象的だったのは井伊直行の「青猫家族転転録」が非常に50歳代のの生き様を描いて家族とのふれあい、友人との葛藤、仕事の取り組みなどを絡めて面白かった。とくに亡くなったおじさんの事を回想するシーンがエキセントリックで僕には印象深かった。