じわぁぁぁあ〜んっと春が近寄って来た。てな感じがする。帝王シューマッハが引退しちゃって巨星墜つといった後の虚脱感が漂うのかとも思えたF1界だが、すっとこどっこい。そんな感傷に浸っている暇はない。ヒーローは誰か?生きのいい新人たちがここ数年で待ちわびてでもしていたかのように跋扈しはじめている。nico lozuberg、Lewis Hamilton、 Heikki Kovalainenなど。中でも注目されるのが先週のオーストラリアGPでデビューしいきなり3位入賞という快挙を成し遂げたLewis Hamilton。マクラーレンメルセデスのロン・デニスがカート時代から目を付けていたというのがハミルトン。1985年1月7日生まれ21歳、身長174cm体重68kgの外人にしては小柄のF1の世界では珍しい黒人系のイギリス人だ。彼は幼少時代を振り返ってこんな事を回想する。
「僕が9歳のとき、アイルトン・セナが亡くなったんだ。彼は僕のヒーローだった。あの週末のホデスドンでのレースを覚えている。パパは小さいヴォクスホールのキャヴァリエを持っていて、その後ろにトレーラーをつけていた。僕はキャヴァリエの中にいて自分のレースを待っていた。そしたら義母がやって来て、セナが今亡くなったって教えてくれたんだ。ものすごくショックを受けたよ。でもパパの前で感情を見せたくなかったので、トレイラーの後ろに行って泣いたんだ。これが僕の人生のターニングポイントになった。幼い頃は、セナのような人は無敵だと信じるものだからね。そして不死だと思ってしまう。このことで僕は自分の才能を大切にしなければならないと理解したんだ」そして、ロン・デニスとの出会いがあった。
マクラーレンの最高権威であるロン・デニスと1994年に初めて会ったときのことをたやすく想像できる。ハミルトンはすでにジュニアカートのチャンピオンだったが、スティーブニッジ出身の黒人少年としては、授賞式ディナーでデニスに近づくことは勇気が必要だった。「スーツを買えなかったので、前年度に同じカート・チャンピオンシップで優勝した男の子からダーク・グリーンのシルキーなスーツを借りたんだ。靴まで借りたよ。ロンのところに行って、マクラーレンを運転したい、そしてワールドチャンピオンになりたいんだと話したんだ。彼は僕のサイン帳にこう書いてくれた。『9年後にまたおいで』 でも2〜3年後、彼は僕に電話をくれたんだ」マクラーレンはハミルトンの輝かしいカートのキャリアに資金援助した。彼はより速い、より年齢の高いクラスで次々に勝利を収めていった。しかし、この実りある関係が始まる前に、彼の人生は決まっていたのだ。(F1通信より抜粋)